イタリア北部。停電が続発する村の電力発電所に派遣された技師は、閉鎖的なコミュニティーの不穏な空気に接し、やがて村が隠す謎に巻き込まれていく…。厳しい雪景色に覆われたアルプスを背景に展開する、サスペンスフルな人間ドラマ。
監督のクラウディオ・ノーチェは短編で評価を固めた後に、初長編監督作”Good Morning, Aman”(09)でいきなり人気俳優のヴァレリア・マスタンドレアを主演に迎え、将来を有望視される監督に躍り出ている。長編2作目となる本作では、イタリア北部の国境近くの村を舞台に、スケールの大きい心理サスペンスが展開するが、現代のヨーロッパが直面する根深い社会問題への意識は、デビュー作から共通しているものである。有名監督であるエミール・クストリッツァを主演のひとりに迎えたことが興味を惹くが、その風貌のハマリ具合もさることながら、旧ユーゴ出身であるクストリツァの出自が作品に深い意味をもたらしていることに注目したい。
(映画紹介より)
★★★☆