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浅田飴くうる日記

La Nación Clandestina

地域文化に密接した作品を撮り続けるボリビア・ウカマウ集団製作によるヒューマン・ドラマ。
ボリビアの事実上の首都・ラパスーー摺り鉢型のその街の底部は高度3600メートル、酸素がまだしも多く、高級住宅街や官庁が立ち並ぶ。高度4000メートルの上部は底辺層の居住地である。そこに、ボリビア高地出身のアイマラ人で、子ども用の棺桶づくりを生業としているセバスチャン・ママニが住んでいる。彼は何年も暮らしたラパスを出て、生まれ故郷のウィルカニ村に戻る決意を固めたばかりだ。彼が帰郷の準備をしているちょうどその日、軍事クーデタが起こり、市街地では銃撃が始まる。ラパス最後の夜、セバスチャンのもとを、大工仕事の手元を勉める若者が訪ねてくる。その日は朝から酒を飲んでいたセバスチャンは、別れの酒だといって若者に酒を勧め、今回の帰郷がもはや首都に戻ることのない旅であることを告白する。 彼はかつて、理由あって村を追放され、そこに戻ることは、村の伝統的な掟からすれば、石責めによる死を意味しているのだ。
一方、ウィルカニ村では、セバスチャンの妻のバシリアや、弟で教師をしているビセンテも含めて、農民たちが鉱山地帯へ駆けつける準備をしていた。鉱山地帯からのラジオ放送が、軍事クーデタに抵抗するための共同闘争を農民たちに呼びかけていたのだ。 「死の踊り」を象徴する大きな仮面を背負って帰郷の旅を急ぐセバスチャンは、その途中で何度も、自分の人生の岐路となった事件を回想する。 幼い頃、大農園主のものと奉公に出されることで、みずからの文化的アイデンティティを喪失するきっかけになったこと、インディオであることを恥じ、苗字を変えてまでインディオであることを隠そうとしたこと、内務省に入りテロ要員として反体制活動家の家を襲い、殺害することに加担までしたこと、そして、いったん村へ帰り人望も集めて村の長に選出されながら、米国からの援助品を横領したり、ある年の軍事クーデタのさいには抵抗のために道路封鎖の呼びかけを受けながら、「参加したら米国の援助が打ち切られる」といって独断で握り潰してしまったこと、そのために村から追放されるに至ったこと……。

こうして、セバスチャンの、償いのための孤独な旅は続き、一方ウィルカニ村の農民たちのクーデタ阻止のための集団的な旅も続いていく。そして……
(映画紹介より抜粋)
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★★★★
by cmonkey3 | 2014-05-05 14:18 | 映画
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